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動物園の環境エンリッチメント/目的



「環境エンリッチメント」あるいは「エンリッチメント」という言葉を聞いたことはないでしょうか? 現在、日本はもとより世界のほとんどの動物園で、この環境エンリッチメントへの取り組みが活発化しています。その内容を5回に分けてご紹介しましょう。

環境エンリッチメントって何?

環境エンリッチメントって何?

まず、そもそも、環境エンリッチメントとは何なのでしょうか?

「退屈で変化のない生活環境」こそ、動物の最大の敵

「退屈で変化のない生活環境」こそ、動物の最大の敵

動物園で、こんな光景に出会ったことはありませんか? 長い鼻と一緒に大きな体を前後に揺らし続けるゾウ、首を揺らしながら左右にステップを踏み続けるホッキョクグマ、柵をなめ続けるキリンなど。

これらは、動物の「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれ、特にこれといった目的もなく同じ行動を続けるのが特徴で、飼育動物においてよく見られるものです。こうした行動は、長い年月をかけてそれぞれの生息地の環境に適応するよう"行動"し、それによって"生きてきた"野生動物たちが、生きるために何ら行動を起こさなくても"生きていける"、単純で単調な環境で生活することになった結果、常同行動という形で現れた異常行動だと考えられています。

さらに、繁殖行動ができない、子育てができないなどの「繁殖障害」、脳が正常に発育しない、正常な体重増加が見られないなどの「発育障害」、けんかが多い、異常に相手を攻撃するといった「社会的問題」、不必要に糞を食べる、尿をなめる、食べたものを吐き戻すといったものなど、飼育環境下で見られる異常行動は様々です。

私たちが一日楽しく過ごす動物園のガラスや柵の向こうには、こうした多くの問題と直面している動物たちがいるのです。

「野性本来の行動」を、限られた環境下で「発現させられる」か?

「野性本来の行動」を、限られた環境下で「発現させられる」か?

近年は、野生動物の研究も進み、また、多くの飼育員・獣医師さんなどの努力で、動物の病気や動物自体に対する理解は深まりました。しかし、動物たちが本来暮らしていた生息地の環境に近づけたいと思っても、気候が全く違う土地ではそれは難しく、また再現できたとしても莫大なお金がかかります。

そういった現実的な問題がある中で、実は、飼育下の動物たちの異常行動は、飼育環境にほんの少し工夫を加えたり、人間がひと手間かけたりするだけで改善されることがわかってきたのです。

例えば、野生では一度に大量の餌が手に入ることはめったにありません。そこで、餌をばらまいて与え、時には様々なところに隠したりして、動物たちが探し、拾い集めなければ食べられないようにします。また、ゾウにタイヤを、ホッキョクグマにプラスチック製のボールを与えると、ゾウは長い鼻を利用してタイヤを動かし、ホッキョクグマは海の中で遊ぶようにボールと戯れます。こうしたちょっとした工夫で、常同行動が減少することが明らかになってきています。

またこんな工夫もあります。野性のゴリラは木に登って果物を食べたり休んだりします。野性のオランウータンは木の上で生活し、地上にはほとんど降りません。こうした動物には、より広い環境を与えるよりも、登れるものを与え、利用できる立体的空間を広げることが大切になってきます。

こうした、「野性本来の行動を、限られた環境下でどうすれば発現させられるか」への視点を持ち、工夫を重ねていく中で、動物たちが日々過ごす環境(environmental)を豊かで充実(enrich)したものにしていこうという試みが「環境エンリッチメント」であり、近年、世界中の動物園で取り組まれているものなのです。

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