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動物園の環境エンリッチメント/方法



飼育下の動物たちの暮らしを豊かにする「環境エンリッチメント」のひとつの参考基準として、「動物が持つ野生本来の行動を発現できるような施設づくりや工夫」が挙げられています。それは主に5つの方法に分類され、取り組まれています。

環境エンリッチメントの方法

環境エンリッチメントの方法

5つの方法とは、「採食」「社会」「認知」「感覚」「空間」の5つです。特定非営利活動法人「市民ZOOネットワーク」が、環境エンリッチメントに取り組む動物園や飼育担当者を応援する目的で年に1回実施している「エンリッチメント大賞」の受賞例をもとに、具体的に紹介しましょう。

採 食

採 食

多くの野生動物は、一日の大半を採食に費やしています。しかし、動物園では食べ物は苦労せずに手に入るため、採食時間が短く、退屈する時間が長くなります。動物が、野生本来の採食行動を発現できるよう、餌の種類を増やしたり、与え方を工夫したり、回数を増やすなどの工夫をします。

≪例≫名古屋市東山動物園「アフリカゾウの餌やりの工夫」

≪例≫名古屋市東山動物園「アフリカゾウの餌やりの工夫」

名古屋市東山動物園のアフリカゾウはいつも忙しそうにしています。屋外、屋内の展示場のゾウからは見えない塀の上や地面の中などに隠されたチップ状の果物を見つけたり、短く切った消防ホースを振ったり打ち付けたりしながら、中に入れられたヘイキューブ(乾草の一種)を上手に取り出して食べています。これは、ゾウは見えない場所、届かない場所にある餌でも、長い鼻を器用に利用し、鼻先で摘まんだり、息を吹きかけて飛ばしたりして手に入れる野性本来の習性を活用した採餌エンリッチメントが行なわれているのです。この採餌エンリッチメントのレパートリーは増え続け、現在は30近くもあり、そのレパートリーを増やす努力が続けられています。これらのエンリッチメントの効果は大きく、常同行動や破壊行動などをほとんどなくすことに成功しています。担当スタッフが変わっても継続できる体制になっており、内容をスタッフやボランティアガイドを通して来園者にも伝え、楽しんでもらう工夫も行なわれています。(2008年エンリッチメント大賞受賞)

社 会

社 会

群れをつくるのが習性の動物は群れで飼育し、オス・メスの数や年齢の構成も野生に似せます。また、飼育員とのふれあいや異なる動物をひとつのエリアに配置するといった社会的な刺激も効果的だと考えられています。

≪例≫長崎バイオパーク「水辺で暮らすカピバラのエンリッチメント」

≪例≫長崎バイオパーク「水辺で暮らすカピバラのエンリッチメント」

長崎バイオパークは、日本最多数のカピバラを飼育する動物園です。この繁殖率の高さには、長崎バイオパークが取り組む動物本来の生態系になるべく近づける「生態展示」が大いに生きています。長崎バイオパークのカピバラたちは、一頭の雄を中心とした大きな群れで、水辺に暮らしています。これは野生での暮らしに非常に近いものです。カピバラは本来、群れの中で複数の母親が共同で子育てを行なう動物なのです。長崎バイオパークのカピバラたちは、この習性を発揮できるため、人工哺育が不要になりました。また、十分な広さと深さのある水場にすることで、泳ぐ、潜るといったカピバラ本来の行動が発現されています。(2009年エンリッチメント大賞受賞)

認 知

認 知

知能の高い動物にとっては、頭を使うことも心豊かな生活に必要です。複雑な動きをするおもちゃの設置や、遊具の導入設置の他、本格的な認知実験を動物園で行なうことも、最近の動物園のエンリッチメントの方向です。

≪例≫京都市動物園「チンパンジーの認知科学実験の公開」

≪例≫京都市動物園「チンパンジーの認知科学実験の公開」

京都市動物園のチンパンジー舎では、京都大学野生動物研究センターとの連携協定によるチンパンジーの認知実験を公開しています。今まで京都大学の霊長類研究所でしか見られなかった本格的な認知実験を動物園で公開するという画期的な試みです。京都動物園では、チンパンジーという種が持つ特徴的な能力である「知性」「好奇心」「学習意欲」「社会性」を発揮できる施設づくりに努めています。中でも室内展示場を改装し、そこに「学習室」を設け、研究者が認知研究を実施している様子を来園者が見ることができる点が高い評価を受けています。チンパンジーたちがここで過ごす時間は、彼らの生活のアクセントになっており、チンパンジーにとっての心豊かな社会性が育まれているのです。(2009年エンリッチメント大賞受賞)

感 覚

感 覚

見晴台の設置や新しい動物の匂いづけ、他の群れの声が入ったテープを流したりし、五感を刺激して、環境に変化を持たせるエンリッチメントです。

≪例≫旭川市旭山動物園「あざらし館のプール凍らせ作戦」

≪例≫旭川市旭山動物園「あざらし館のプール凍らせ作戦」

旭川市旭山動物園のあざらし館には「マリンウェイ」と呼ばれる、アザラシ本来の動きのひとつである垂直方向への泳ぎを発現させた施設があり、国内外から大きな注目を集めています。旭山動物園では、この成功に甘んじることなく、さらにアザラシの野生の行動を引き出す努力が行なわれ、3年間にわたって工夫を重ねて実現したのが、循環型プールの水を凍らせることです。アザラシたちはプールやマリンウェイで泳ぐことに加え、氷にあいた穴から顔を出したり、氷の上で寝そべったり、より多くの行動をとることができるようになりました。これは、実は、寒い地域に位置する旭山動物園の冬季の厳しい環境を逆に生かした取り組みでもあり、この点も大きく評価されています。(2009年エンリッチメント大賞受賞)

空 間

空 間

樹上生活者である動物には登ることができる場所、水を使う動物には水場をつくるなど、動物の行動特性が発揮できる空間づくりを行なうエンリッチメントです。

≪例≫埼玉県こども動物自然公園「斜めの木が入っているコアラ展示場」

≪例≫埼玉県こども動物自然公園「斜めの木が入っているコアラ展示場」

埼玉県こども動物自然公園のコアラ展示場には、縦と横だけでなく斜めの木の枝もたくさん入っています。野生では真横への移動はほとんどないこと、縦や斜めに移動することでふんばる力がかかり筋肉が鍛えられることに着目したものです。(2008年エンリッチメント大賞受賞)

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