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アフリカゾウ一家のストーリー/
愛媛県立とべ動物園



愛媛県立とべ動物園」(以下、とべ動物園)にいるアフリカゾウの「アフ」(オス)と「リカ」(メス)は、みなし子でした。その悲しい生い立ちのリカは、自らが子どもを産んだとき、我が子をどう扱っていいのかわからないという現実が待っていました。母親に見捨てられてしまった「媛(ひめ)」の小さな命は、飼育員さんのゾウの家族を思う深い愛情によって守られ、再び本当の母親のもとへと返されました。その物語です。

みなし子ゾウとしてやってきた「アフ」と「リカ」

みなし子ゾウとしてやってきた「アフ」と「リカ」

ゾウは本来、メスを中心とする家族単位の母系集団で生活し、成熟期を迎えたオスのゾウは、群れから離れ、一人で行動します。

群れに赤ちゃんが産まれると、母親、姉、祖母、叔母といった血縁のゾウが面倒を見、子どもを集団で守り育てるのです。

しかし、現在、人間の生活環境の拡大などで、ゾウたちが群れで安心して暮らせる棲息地は減少を続けています。また、象牙の密猟や害獣駆除を目的に人間に殺されるゾウたちも後を絶ちません。そのため、アフリカには、親や家族を殺された「みなし子ゾウ」を保護する施設ができているのが現状です。

「アフ」と「リカ」は、アフが1歳、リカが1歳半のとき、そういったアフリカの孤児院から、とべ動物園にやって来たみなし子のゾウです。飼育員さんたちはまず、アフやリカのそれまでの境遇に思いを馳せたといいます。「もしかしたら、人間によって、目の前で親・家族を殺された子ゾウたちかもしれない」と。そして、アフとリカの傷ついた心を何とか癒してあげたいと、飼育員さんたちは彼らに精一杯の愛情を注ぎました。2頭は、そんな飼育員さんたちの思いが伝わったのか、目の輝きを取り戻したといいます。

リカの戸惑いと「媛(ひめ)」の試練

リカの戸惑いと「媛(ひめ)」の試練

アフが父親に、そしてリカが母親になる時が来ました。2006年11月9日のことです。リカは過去に2度妊娠したものの、2度とも流産あるいは生まれてすぐに赤ちゃんの命がつきてしまい、やっと3頭目で無事に生まれたかけがえのない命でした。

しかし、リカは母乳を与えようとしないばかりか、赤ちゃんを持ち上げて落としてしまいます。みなし子として育ったリカには、我が子とどう接していいかわからなかったのでしょう。

そんなリカに代わって、「媛(ひめ)」(メス)と名付けられた赤ちゃんの育児を引き受けたのは、飼育員さんたちでした。「リカ、おまえの子どもなんだよ。赤ちゃんを受け入れておくれ」と何度もリカに語りかけ続けつつ。

媛にも試練は始まっていました。赤ちゃんゾウは本来、鼻の使い方や群れの暮らしに必要なきびしいしつけなど様々なことを母親から教わりながら一人前のゾウに育っていきます。しかし、リカに育児放棄されてしまった媛は、リンゴを鼻でつかんで口に運ぶことさえできませんでした。お母さんがそばにいないことの寂しさに加え、ゾウとして生きていくために必要なことを学ぶことができない赤ちゃんゾウの媛。それから、まさに飼育員さんと媛の、"二人六脚"の生活が始まりました。

一方で、実はリカも苦しんでいました。媛が自分の目の届く中にいないと、リカはとても不安がるのです。我が子のことが気になって仕方がないのに、どう扱っていいのかわからないリカ。飼育員さんには、そのリカの苦しみが、痛いほどわかったといいます。

もうひとりの家族の誕生をきっかけに

もうひとりの家族の誕生をきっかけに

媛は、飼育員さんの深い愛情によって、何とか一歩一歩、成長への階段を上っていきました。リカはそんな媛の姿を間近で見ながら、徐々に母性を育んでいき、媛との距離も徐々に縮まっていきました。

そんな中、転機が訪れます。2009年3月17日に アフとリカに第2子「砥夢(とむ)」(オス)が生まれたのです。砥夢は、今度は母親であるリカによって育てられ、リカは本当の意味でゾウのお母さんになりました。

リカに最初から育てられた砥夢は、早くから上手に鼻を使い、甘え上手でもあります。そして媛は、そんな砥夢と遊ぶ中でゾウの社会性を学び、少しずつ心を満たしていきました。こうして、アフを加えた4人のアフリカゾウ家族が、本当の意味で誕生したのです。

2012年11月より、砥夢は、アフリカゾウのオスが不在だった東京の多摩動物公園に、繁殖を目的として移っています。そして、アフとリカの間にさらに新しい命が芽生え、2013年6月1日にメスの赤ちゃんが生まれました。アフ、リカ、媛、そして媛の妹である「砥愛(とあ)」は、とべ動物園で仲よく暮らしています。アフリカゾウの家族が、自然な形で暮らしているのは、日本ではとべ動物園だけです。一度、このアフリカゾウの家族に会いに行きませんか。

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