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「スギ」のストーリー/到津の森公園



福岡県の「到津(いとうづ)の森公園」にある「ふれあい動物園」というエリアでは、ロバの乗馬体験ができます。日本では、ロバはあまりポピュラーな家畜ではありませんが、世界的に見ると、5000年以上も前から家畜として飼育されてきています。ロバは、少ない餌でも生きることができ、丈夫で長生き、記憶力に優れて繊細な神経の持ち主です。このロバをイメージするとき、一般には、その小さな体に押しつぶされそうなほどの荷物を背負い、顔に比べて大きく見える耳を揺らして、荒れ地や岩山をポコポコと歩くといったものではないでしょうか。一言でいえば、「忍耐強い」というイメージでしょう。到津の森公園にも、忍耐強い一匹のオスのロバがいました。彼の名は、「スギ」です。

働き者だったスギ

働き者だったスギ

スギは、2012年5月27日、人間ならば70歳にあたる20歳で亡くなりました。彼には、「コミミ」という奥さんと「ミミ」と「スモモ」という2匹の娘がおり、妹の「モミジ」を加えた家族で、生前、到津の森公園で「乗馬体験」の"仕事"についていました。

この話は、まだコミミが他から到津の森公園に、スギのお嫁さんとしてやってきたばかりのころの話です。当時、スギとモミジが交替で仕事にあたっていたわけですが、当番のとき、小さなプラットホームにつながれて、どんなに寒かろうが、人が少なかろうが、また多少の雨が降っていようが、じっと動かず、ひたすらその場に立っていました。その姿は頑丈で働き者のイメージそのままです。

スギが残した"忍耐"のあかし

スギが残した

ただ、このロバたち、頑丈で働き者の一面の裏に、実は頑固で気まぐれ、気分が乗らないとがんとして言うことを聞かなくなるという部分も持っているそうです。そしてそういう性格はどうもロバ同士の関係にも出てくるようです。

当時、スギのお嫁さん候補としてやってきたコミミですが、7歳年上の新郎がよほど気に入らなかったのか、飼育員さんが見ていても、スギが気の毒になるほど、逃げる、蹴る、攻撃するという日々が続いたそうです。体格も立派なコミミのこと、スギはさぞかし痛い思いをしただろうと、すでにかなり過去のことですが、同情してしまいます。しかし、スギは、ひたすら耐え続けたようです。そしてその結果、ついにコミミの方から近づくようになっていったといいます。涙ぐましい"忍耐"が報われたわけです。

そうして、生まれたのが、ミミとスモモ。しかも、スギは昨年亡くなる前に繁殖活動を行なっていたようで、2013年3月25日に、3頭目の娘が生まれています。この子はいわば、スギの忘れ形見ですね。

到津の森公園を訪れたときに、スギには会えませんが、コミミをはじめ、その子どもたちに会い、忍耐強かったスギのことに少し思いを馳せてみて下さい。

CXg